夜中の住宅街、犬と散歩中、ふと白い犬とすれ違った。首輪をし、引き紐を引きずって、私とうちの犬の正面に現れた。何か毅然とした足取りで真っ直ぐこちらに向かって歩いて来た。すれ違いざまに犬同志のごく短い挨拶はあったが、そのまま横を素通りして行った。
暫く歩くと「白い犬を見かけませんでしたか？」と捜し回る老夫婦と出会う。懐中電灯を手に、途方に暮れた様子。状況を話すとそのまま二人はあたふたと夜の帳へと消えて行った。さ迷う飼い主の様子と対照的な、犬のしっかりした足取り。出来る事なら自分も捜される方になりたい。
