働き始めて間もない頃 怖いもん知らずの若造だった私は ある朝の打ち合わせで一瞬紹介された「米国研修」に脊髄反射で喰い付いた
後から聞くと 過去には 提携先と話がついてなかったとか 飛行機のトラブルで真夜中のアンカレッジに放り出されて自力でホテルを探したとか 骨折して救急車で運ばれたとか パスポート落として領事館まで行ったとか ネットもeメールもない時代に 異郷の地でトラブルを自ら解決するサバイバル訓練のようなものだった 自分が遭った数々の酷い目を書き始めたら いつまでも曲の紹介にならんので割愛するけど
まぁいろいろあって最後 仲良くなった現地の方々とのサヨナラパーティで披露したのがこの曲 私がPaul役でギターを弾いてハモをつけたんだが お相手の主旋律を歌うArt役が 研修リーダーのIさんだった 彼は当時 将来を嘱望された秀才で 私も尊敬していたし その後もあんな事やこんな事まで教えて頂いた恩もあるので そう悪口をここで書く分けにもいかない
宿泊所で二人で練習してたら 現地スタッフのRichが工事現場用の大きなヘッドホン型のイヤマフを着けて Good song! ってからかいに来た 「沈黙の音」への彼なりのジョークだったのかもしれんし 夜勤に備えて寝てたんを妨害された抗議だったのかもしれん パーティでは一応 我らは拍手喝采を頂いたが ヤツはまたイヤマフ着けて見せたし きっとその程度の出来だったんだろう きっと
Iさんとは職を離れてから音信も途切れてしまった お元気でお過ごしだといいのだが
