mame3zok雑記

i'm just a drummer. i'm just a rider. i love dogs. i love the greatest japanese rock band SPITZ!

今週のお題 雪の日の思い出

あれはまだ携帯電話が一般には普及していなかった頃。
夜遅く、バイトを終えた帰り道。夕食を帰宅時間に合わせて温めてくれるよう、道端に車を停め、公衆電話で家にかけた。
「はい、もしもし」
「あ、俺だけど、バイトさっき終わったから、晩飯・・・」
「はい?」
中年女性の声ではあったが、お袋ではなかった。
「すいません、間違えました」
慌てて電話を切った。自宅の電話番号を押し間違えるなんて。軽く舌打ちをして、慎重にダイヤルを押した。
「はい、もしもし」
「あ、あ、もしもし、あの・・・」
さっきと同じ声。
「どちら様?何のご用?」
「あの、***−****ですよね」
「はい」
「○○○さんのお宅でしょうか?」
「そうですけど・・・」
自分の家の電話番号、自分の名字。でも知らない声。
「すいません、また間違えました」
慌てて受話器を置いた。
俺はどこに帰ればいいんだろう。
公衆電話の外には小雪がちらついていた。