見失ってはいけない、本質的なもの。
普段あることが、あまりにも当たり前になってしまっているもの。
無くなってはじめて、その当たり前と感じていたことが、
いかに大きく、いかに複雑で、いかに多くの人に支えられてたか、
知る。思い知らされる。これでもかというぐらい。
それまでは、頭ではわかっていても、骨身に沁みていかない。
そういうものなのだろう。
気づいてはじめて、己の無知を嘆き、浅はかさを悔いる。
後戻りのできない事を、時に呪い、悲嘆に暮れ、
これからずっと背負って生きていかねばならない十字架の、
大きさ重さを前に、途方に暮れる。
そして、それでも今日も、私たちは、
さまざまな重さ大きさの十字架を背に、今日も歩く。
明日も。
一歩ずつ。
風化した一里塚と、ぼろぼろの地図を頼りに。
