mame3zok雑記

i'm just a drummer. i'm just a rider. i love dogs. i love the greatest japanese rock band SPITZ!

お百姓

自分がお百姓なら、
畑は念入りに耕しておく。天気をよく見て、水を遣ったり日除けをかけたりする。雑草は抜き、肥料を施す。農具はあれこれと買い揃え、何時でも使えるようきちんと手入れしている。近所や、時には遠方の農園に見学に行ったり、そこで育ったものを貰ったり、立派なものは買ってみる。旨いものは旨く、不味いものは不味い。舌は確かだと思っている。そして、きっとこれらのどれよりも旨いものが自分には出来る、と信じている。そして日々、畑を耕し、水を遣り、農具の手入れに精を出している。そして自分の耕作にあらゆることを役立てようとしている。
・・・・・している、だけ。時どき思い切って種を蒔いてみるが、苗に育つ前に枯れてしまう。枯れてしまうのが怖くて、枯れる前にすぐ抜いてしまう。苗を買ってくる事もある。植えてはみるが、実をつける前に枯れてしまう。枯れてしまうのが怖くて、たとえ枯れずとも不味い実をつけるのが怖くて、すぐ抜いてしまう。そして今日も、畑を耕し、水を遣り、農具の手入れに余念が無い、というか、余念が無い状態に自分を追い込むことで、そう思い込むことで、別の、もっと大切なところから逃げている。本質から目を逸らし続けている。
ふと気づくと、手入れしていたはずの土は未だ石ころだらけ、農具も錆付いてしまっている。何ひとつ実らぬ畑に居座り続けて、もうどれぐらいの年月が経ったのか、それすら定かではない。