mame3zok雑記

i'm just a drummer. i'm just a rider. i love dogs. i love the greatest japanese rock band SPITZ!

ゴッホ

 ゴッホ展を観に一人で県美へ。嫁はその間デパート。1985年の暮れに来た時も観に行ったので、実に20年ぶりってことになる。芸総に入った途端、メガホンの怒号と年寄りのざわめきにまみれ、「当日券40分待ち」の看板の下、長蛇の列の最後尾に並ぶことになり、早くもげんなりする。まぁ、この前の万博に比べれば、どってことないのだが。
 織工、古靴、芸術家としての自画像、花魁、夜のカフェテラス、ひまわり、糸杉と星の見える道・・・ 有名な物、どこかで見た覚えの有る物や無い物などを、雑踏に流されながら、また流れに逆らいながら、眺める。そして、今の自分の歳まで生きなかった、若くして狂気の内に自ら命を絶った天才の一筆一筆、カンヴァスに盛り上げられた絵具の一畝一畝が、今の自分とどう繋がるのか、考える。厖大なる時空を超えて伝わるものは、一体何なのだろう。自分と一作品が、もしも何の説明も予備知識も無しに対峙したら、今日覚えた感情(感動?)と同じものを得ることは果たしてあるだろうか。自分の周りにいる老若男女有象無象の人たちが、この絵を見て何を得、何を考えているのだろうか。何もわからず、ただ有難がっているだけなのか。自分もそのうちの一人ではないのか。興正寺の弘法さんの縁日の賑わいと同じなのではないか。出口で「糸杉と星の見える道」の絵葉書を買う。図録は迷った末、買わなかった。
 今、20年前の図録を見ると、今日観たものが半分ぐらい入っていた。先ほどテレビでボブロス画法ってのをやってて、素人でもそれらしく油彩で風景画が描ける技法を紹介していた。音楽で言えばカラオケ教室みたいなのだろう。ゴッホが見たら鼻で嘲うだろう。