仕事でちょっと外へ。途中目にした銀行にふらり立ち寄り、みずほの無愛想なオバサンからグリーンジャンボを買う。連番十枚、バラ十枚。こんなもん買うのは久しぶり。オバサンの「当たりますように」の一言は無かった。5400円で2億5千万の妄想を買う。わずか数週間の夢を。現実逃避にしては、少々お高い。
現実は厳しい。
以前、死んだ親父の遺品を整理してたら、外れ宝くじの束がごっそり、厚さ10cmぐらい出てきた。筋金入りの博才の無さだ。子供の頃は、親父が宝くじを買ってたなんて全然知らなかった。ギャンブルは良くない、地道に働くことが人生大切なのだ、などと息子相手に能書きを垂れる人だった。肩を落とし外れくじをちまちま輪ゴムでまとめる姿を思い、悲しく笑えた。もし当たったら、女房子供たちに旨いもの食わしてやって、家を建て直して、車を買い替えて、なんて妄想し続けたまま死んでしまったんだろう。ほとんどの凡人は、そんなふうに死んでくのだ。自分もその血筋を確実に引いている。
